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八木 敏明
第14回放射線利用技術セミナー; 広がる放射線の産業利用講演テキスト, p.67 - 72, 2004/10
生分解性プラスチックは、通常の使用に耐え、使用後は土壌中の微生物によって分解する環境に優しい高分子である。放射線橋かけが難しい生分解性プラスチック(ポリ乳酸など)や天然高分子の多糖類(デンプン,セルロース,キチン・キトサンなど)について、放射線による橋かけ構造を導入する技術開発を行った。ポリ乳酸は放射線橋かけにより、高温(160C以上)にも耐える耐熱性が得られ、熱収縮材への応用が可能である。また、デンプンやセルロースなどは放射線橋かけにより、高吸水性多糖類ゲルが得られ、医療・福祉,農業,衛生用品などへの応用が期待できる。
Zhai, M.*; 吉井 文男; 久米 民和; Hashim, K.*
Carbohydrate Polymers, 50(3), p.295 - 303, 2002/11
被引用回数:180 パーセンタイル:98.74(Chemistry, Applied)デンプンがポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲル強度を改善するために添加された。デンプンはPVAを水に溶解した後80-90Cのノリ状態で均一に混合し、照射を行った。デンプンの添加とともにハイドロゲル強度が増大し、8-10%が最も効果的であった。ゲル強度はデンプンを構成しているアミロースとアミノペクチンのうち、アミロースが支配的であることがわかった。このデンプンの効果は放射線分解したデンプンがPVA分子鎖にグラフトし、絡み合いを起こすためと考えられる。
吉井 文男
水, (612), p.16 - 22, 2001/06
ハイドロゲルは多量に水を含んだ親水性ポリマーからなる。紙オムツなどの水吸収体はハイドロゲルからできている。生分解性ハイドロゲルは使用後コンポスト化により処分でき、土に還元できる循環型の材料として注目されている。セルロース及びデンプンは水との親和性の良い材料であるが、放射線により分解するため、橋かけによる改質は困難とされてきた。本稿では、これを克服し高濃度ペースト状照射により、橋かけが起こることを見いだした。橋かけ挙動、ハイドロゲルの膨潤特性、橋かけ後の生分解性について述べる。
吉井 文男; 長澤 尚胤*; 三友 宏志*; 久米 民和
IAEA-SM-365, p.164 - 165, 2000/00
放射線分解型のカルボキシメチルセルロース(CMC)がペースト状照射で橋かけした。本報告ではCMCと同じ組成の立体構造の異なるデンプンの橋かけカルボキシメチルデンプン(CMS)を用いて行った。これは15%以上のポリマー濃度のペーストから橋かけを起こした。橋かけに必要な線量は、CMCよりも低く、3~5kGyで達成した。この場合は、最高60%の濃度ペーストをつくることができ、この濃度が最も橋かけしやすい。吸水性能はCMCよりも優れていた。コンポスト化試験による生分解性は、CMCよりも著しく速い。
熊倉 稔; 嘉悦 勲
Enzyme and Microbial Technology, 5, p.199 - 203, 1983/00
被引用回数:7 パーセンタイル:29.87(Biotechnology & Applied Microbiology)甘薯、馬鈴薯、キッサバなどのデンプン原料の前処理と固定化グルコアミラーゼによる酵素加水分解について研究した。前処理は生原料を乾燥し機械的粉砕による方法について種々の粉砕機を使用し比較検討した。粉砕方法は高速回転式ボールミルの場合が最も効果があり、短時間の粉砕により従来の加熱処理と同程度の効果があることが明らかになった。また粉砕方法においては原料の乾燥が著しく影響を与えることがわかった。キッサバの酵素加水分解についてはグルコアミラーゼとセルラーゼを使用し酵素反応することにより糖濃度が上昇することが明らかになった。固定化グルコアミラーゼは放射線重合反応を利用し調整し種々の方法で前処理を行った原料の酵素加水分解を行った。機械的粉砕方法で前処理した原料は固定化酵素の耐久性については甘薯を用い連続酵素加水分解を行い調べた。
久米 民和
Radioisotopes, 26(4), P. 1605, 1977/04
放射線照射によるデンプンの変化についての最近の関連研究文献の紹介を行った。目的によって、?工業用原料としてのデンプンの放射線改質、?食品材料としてのデンプンの放射線殺菌と加工適正の改良に関するものに大別して紹介した。また、食品材料としてのデンプンに放射線を照射する場合に重要となる健全性試験や検知法についても言及した。